はりきゅうマッサージの効果

鍼(はり)治療とは

 鍼と呼ばれる専用の治療具を用い、身体の表面 ―主に経穴(ツボ)にあたる部位― や特定の筋肉・各部位などに対し治療を施し、症状の改善に効果をあげます。

 鍼を刺すことで「痛い、恐い」と思われる方も多いようですが、治療に用いる鍼は一般的には直径0.2mmと毛髪ほどの太さしかありませんし、習熟した技術により、瞬間的に皮膚を通過させてしまうので、ほとんど痛みはありません。

 またディスポーザブル(使い捨て)の鍼の使用や、器具・手指の消毒をしっかりと行うなど、感染防止の意味も含め衛生面にも十分な配慮を払っています。

灸(きゅう)治療とは

 一般的には艾(もぐさ)を用い、身体の表面【主に経穴(ツボ)にあたる部位】に温熱刺激による治療を施し、症状の改善に効果をあげます。

 はじめて灸治療を受けるときは、やはり「灸は熱い、跡が残る」という不安を持たれるのではないかと思います。

 しかし半米粒大くらいの艾を用いますので、一見して目立つ大きな跡が残ることはありませんし、数回の治療で上手に据えれば、治療後しばらくたてばほとんどその跡も消えてしまいます。

 また灸といってもさまざまな種類があり、艾と皮膚の間に薬効が期待される生姜などを挟む方法や輻射熱を利用した方法など、心地良い温熱刺激で跡が残る心配がまったくないものもあります。

あん摩・マッサージ・指圧治療とは

 押し、引き、撫で、さすり、揉み、叩くといった手技を用いて患者個々に適した刺激量を選択し、治療を行います。

 あん摩・指圧が経穴(ツボ)経絡(ツボとツボを結ぶ線)を意識して施術するのに対し、フランスから伝わったマッサージは、リンパ・血液の流れ・筋の走行に従って施術します。

 このように、あん摩・指圧とマッサージとでは、理論や手技が全く異なるのですが、日本においてはひとつの資格として法制化されています。

 あん摩や指圧は体の中心から末梢に向かって遠心性の刺激を与えるのに対し、マッサージは身体の末梢から中心に向かって求心性の刺激を加えるのが原則です。「手で身体の状態を診ながら、悪い部分を見つけ治療する」という点では、あん摩・指圧・マッサージは同じですが、あん摩は中国で、マッサージはフランスで、指圧は日本で、それぞれ生まれ発達してきた手技療法です。

経穴とは、そして経絡とは

 鍼を刺し、灸をすえ、指圧をするポイントが経穴(ツボ)です。全身の皮膚には300を超える経穴が分布し、同じ効果を表す経穴を結んでいくと、手に6本・足に6本、さらに身体の中央の前と後ろに1本ずつの道筋が作られます。

 この道筋が「経絡」です。ツボがどんな形をして皮膚のどの深さにあるのかなどの詳しいことについては、いまだ研究段階でわかっていないのが現状です。

 しかし、ツボと内臓の間に、神経を介して連絡のあることは、すでに明らかになっています。機械的にせよ、温熱的にせよ、また圧迫にせよ、ツボの刺激は間接的に内臓を刺激することになるのです。

未病治とは

 血流の改善や疲労回復、自律神経系の調整、免疫能力の活性化、鎮痛作用、筋緊張の緩和といった様々な作用・効果があることが、科学的にも解明されつつある現代では、鍼灸マッサージ治療は多くの病気等に応用されています。一例として、痛みについて考えてみましょう。

 この場合に、鍼灸マッサージに適応する疾患として挙げられるものには、腰痛や肩凝り、膝関節痛など筋肉や身体運動に関わる痛みの症状が最も多いと思われるのではないでしょうか。これらの痛みに対し鍼灸マッサージが有効であることはもちろんですが、しかし、それ以外にも、頭痛や腹痛、胃の痛みといった内臓に関わる痛みの症状にも、その効果は同じように期待されます。さらに、それらの痛みの原因が、ストレスや精神的・肉体的疲労など、西洋医学(投薬など)では対処しにくいものであった場合でも、鍼灸マッサージの、心身のバランスを調整する、生体の自然治癒力を高めるといった側面からのアプローチを加えることによって、原因そのものの改善にも効果が期待できるのです。

 介護保険・介護予防にも大きく関わることですが、特に寝たきりや歩行困難であるなど、介護保険において要介護者・要支援者とされる方の二次的障害(褥瘡など)の予防や廃用性症候群(関節の拘縮、筋の萎縮など)に基因する疼痛症状の緩和等に優れた効果があり、また、患者本人だけでなく、介護者の、日々の介護疲れからくる腰痛や肩凝り等の症状の改善としてもお勧めできる治療術です。最近では、上記のようにいろいろな疾患に伴なう疼痛や、老人性の疾患全般、また難病と呼ばれている病気に対する有効性も認められ、治療に応用されることが増えてきています。

 また一方で、鍼灸マッサージは、症状や病気の改善といった「治療」としてだけではなく、体質改善や健康増進といった健康管理、つまり「病気にならないための健康な身体づくり」にも優れた効果を発揮します。これは「未病治(未病を治す)」と言って、東洋医学の中では古くからある基本的概念です。「病になってから、その病を治す」という西洋医学の考え方とは異なり、「いまだ病まざるを治す」つまり「身体の不調和が病として表面に現れる前に、その根元を治すこと」こそ大切であるという考えで、「病気」という苦しい状態を未然に回避させることになるのですから、人間にとって“最良の保健医療”とも言えるものです。

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